誰もが不便な「だれでもトイレ」

国土交通省は12年7月に、バリアフリー設計の考え方や基準の適用方法などを示す「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を5年ぶりに改定しました。多機能トイレにおける多様な利用者の集中回避や、車椅子使用者の利便性向上に資する機能分散の考え方等についての記述を充実しました。
 これは多機能トイレに、車椅子のまま入れる広い空間、着座や立ち上がりに便利な手すり、乳幼児のおむつ替えができるベッド、オストメイト(人工肛門などを付けた人)用の設備など、様々な設備を詰め込んだことで、高齢者や障害者、子供連れなど幅広い利用者が集中し、使いたい時に使えない事態が起こっている現状から、盛り込まれた内容です。
 日本の公共トイレは当初、和式トイレを中心に整備されてきたが、足の不自由な高齢者や車椅子利用者にとっては使いづらく、外出を妨げる一因となっていました。1980年代に入ると、障害者の社会参加を求める声が高まり、車椅子利用者専用のトイレが整備され始め、90年代には徐々に普及しました。2000年代には、車椅子利用者だけでなく子供連れも使えるようにと、乳幼児用のベッドや椅子なども備えた多機能トイレへと進化しました。この結果、だれでも使える多機能トイレに利用が集中するようになりました。
 今後は、車椅子用、子供連れ用、オストメイト用といった個別の機能を備えたトイレをそれぞれ設け、誰もが快適に利用できるトイレ空間にするよう対策を求めています。     西岡